契約書をチェックするときの注意点② ー書いていないことを推測することなかれー
弁護士堀内のブログ2022.0216
契約書を作る目的ですが、大きく分ければ2つあります。
1つは契約後のトラブルを防止することにあります。
もう1つは、契約後にトラブルが起こっても、自分を守ることができるようにすることにあります。
その点、「契約書を読んでみたものの、何を書いているのか分からない」とか、「契約書の読み方がいくつかある。意味をいくつにもとることができる」とかいうことですと、契約書を作ったとしても自分を守れません。
「何を書いているのか分からない」というのは言葉の使い方や文法の問題であることが多いので、ここでは省略します。では、「契約書の読み方がいくつかある。意味をいくつにもとることができる」というのはどういうことでしょうか。
例えば、マンションの1室を賃貸するという賃貸借契約書があったとして、これのチェックを依頼されたとします。なお、この建物では、風呂が自分の部屋にはなくて、別棟にあったとします。
この契約書に問題はないでしょうか。
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1 甲は乙に対し、本件建物の一室(以下、「本件部屋」という)を賃貸する。
2 乙は甲に対し、本件部屋の賃料として月額5万円を支払うものとし、当月末までに翌月分を支払う。
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この契約書で、乙は風呂を借りているといえるでしょうか?
「風呂が別棟にあることは甲も分かっているし、風呂には当然入るから、普通に考えれば風呂も借りているといえる」と思われるかもしれません。
でも、「風呂が別棟にあるから、風呂は、本件建物にも本件部屋にも含まれない」ともいえるわけです。この契約書では「本件部屋を賃貸する」としか書いておらず、風呂については何も触れられていません。
ここで問題なのは、「普通に考えれば、風呂も使うから、風呂も借りてるはずだ」という認識を持ったことです。その認識を持つこと自体は普通かもしれませんが、いざ甲と乙の間でトラブルになったときには、「本件部屋に、別棟にある風呂が含まれるか」ということが問題にならないとも限りません。
このように、契約書に書いてないことを推測したがゆえに、あとで自分に不利益になるということがなくはないわけです。
例えば、上の契約書でいえば、例えば、「本件建物の一室(以下、「本件部屋」という)、および本件建物とは別棟にある風呂を賃貸する」と定めておけばよかったということになります。
推測がいつでも自分の有利にはたらくとは限りません。
あとでトラブルにならないように、また、トラブルになっても自分を守ることができるように、推測ではなくきちんと文章化するようにしておくことをお勧めします。