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フリーランス新法とチェックリスト

お知らせ弁護士堀内のブログ2024.1016

2024年11月1日から、フリーランスと業務委託契約をする際の取り決めとして、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行されます。通称「フリーランス新法」と呼ばれるものです。

これは、フリーランスを保護するために、フリーランスを受託者とする業務委託契約などに適用されます。

なお「業務委託」とはどういうものかということについては法律に定めがあり、ざっくりいえば次の2つのうちのいずれかに該当すれば「業務委託」になります。

① 業者がその事業のために物品の製造・加工やデータ等の作成を委託すること

② 業者がその事業のためにサービスや役務を提供することを委託すること

 

つまり、さらにざっくりいえば、「業者が自社の事業のために、他の業者に何かしてもらうこと」ということになります。

 

 

1 適用される場合かどうか

 

では、そもそも適用されるのはどういう場合でしょうか。

私は次のようなチェックリストを作って検討しています。委託者と受託者の両方について条件があります。

 

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 □ 対象になっているかどうか確認しましょう。

  • □ 委託者:①・②の両方を満たす者
  • ① 委託者であること
  • ② 従業員を使用していること、もしくは法人で役員が2名以上いること

 

  • □ 受託者:①・②のいずれかを満たす者
  • ① 個人であって、従業員を使用しない者であること
  • ② 法人であって、役員が1名で、かつ従業員を使用しないこと

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委託者については「①・②の両方」で、受託者については「①・②のいずれか」であるところが要注意です。

なお、2024年11月1日より前に契約されている場合には適用がありません。ただ、2024年11月1日より前に契約されていても、それ以降に契約を更新する場合には、更新時から適用がありますので要注意です。

 

2 どんな内容か

 

詳細は厚生労働省のホームページにいろいろアップされていて、それをご参照頂くほうが早いので、URLをアップします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

私は、それらを踏まえて、ざっくりと「契約する時にこういう点に気を付けたらいいね」という点のみに内容を絞ったチェックリストを作って、

契約書を作成したり、契約書をチェックしたりするのに使っています。

ただ、これで十分かと言えばそうではないかもしれず、あくまでも目安であることにご留意ください。

 

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  ★ 次の全てにチェックが入るようにしましょう。

 

  1 □ 取引条件の内容を書面かメールで明示している。

【取引条件とは】

次の6点です。これら全てについて書面かメールで明示していないとダメです。

  •        □ 業務の内容
  •        □ 報酬の額
  •        □ 支払期日
  •        □ 受託者と委託者の名称
  •        □ 業務委託契約日
  •        □ 業務を行う日と納品の日

 

  2 □ 報酬の支払期日が、業務完了日もしくは納品日から60日以内である。

・60日を超えているとダメです。つまり納品後2か月以内に支払わないとダメということです。

 

  3 □ 契約の中に、次の内容の定めがない

・次の9点のうち1つでも該当する定めがあったらダメです。

  •        □ 受注者の帰責がなくても、委託者は発注した物品の受領を拒むことができる。
  •        □ 受注者の帰責がなくても、委託者は委託業務の遂行を中止させることができる。
  •        □ 受注者の帰責がなくても、委託者は、発注時に決定した報酬を減額することができる。
  •        □ 受注者の帰責がなくても、委託者は発注した物品を受領した後に返品できる。
  •        □ 報酬の額を契約で定めているが、その額が通常支払われる報酬額に比べて著しく低い。
  •        □ 委託者が受注者に対して、委託者が指定するサービス・保険・リース商品の購入や利用を
  •         しなければならないことを求める。
  •         【例外】次の場合はこれに該当しません。
  •            発注する物品や業務の品質を維持するために必要であるサービス・保険・リース商品
  •            を購入・利用を求める場合
  •        □ 委託者が受託者に対して、委託者のための金銭やサービスその他の経済的利益を提供する
  •         ことを求める。
  •         【委託者のための金銭やサービスその他の経済的利益とは】
  •           次のようなものが該当します。
  •             ・協賛金を提供させる
  •             ・配送業務を請け負っている場合に、倉庫の整理作業を無償でさせる
  •        □ 受託者の帰責がなくても、委託者は契約後に発注内容を変更することができる。
  •        □ 受託者の帰責がなくても、委託者は業務のやり直しを求めることができ、その費用は受託
  •         者が負担する。

 

  4 □ 次の内容と矛盾する契約内容がある

・次のうち1つでも、それと矛盾する内容が契約に定められていたらダメです。

  •        □ 委託者が広告等により委託者の募集をするときには、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を
  •         してはならないし、正確かつ最新の内容の表示をしなければならない。
  •          ※ 意図的に高い額の報酬を表示したりするなどがこれに該当します。
  •        □ 継続的業務委託契約を結んでいる受託者が、妊娠・出産・育児・介護等と業務を両立できる
  •         ように申し出してきたら、委託者は必要な配慮をしなければならない。
  •          ※ 「継続的業務」とはどれぐらいの期間かについては、政府でまだ決まっていません。
  •            「今後定める予定」とのことです。
  •          ※ 「必要な配慮」とは、例えば就業日や就業時間を調節したり、オンラインでの業務を
  •            認めたりするといったこととされています。
  •          ※ 「必要な配慮をしなければならない」というだけであって、絶対に受託者の申出を
  •            受諾しないとダメというわけではありません。
  •        □ 委託者は、受託者へのハラスメントがないように、相談対応のための体制の整備などの必要
  •         な措置をとらなければならない。
  •        □ 契約の中途解約をする場合や契約を更新しない場合に、遅くとも終了日前30日前までに、
  •         その旨の予告をしなければならないし、委託者は受託者に対し、解約や更新しない理由を開
  •         示しなければならない。
  •          ※ 逆に言えば、終了前30日より短い期間では解約や契約終了ができない、ということ
  •           です。

 

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「契約書に定めないとダメ」と「契約書に定めてはダメ」と「これと矛盾する内容を契約書で定めてはダメ」とがあってややこしいんですが、一つ一つ確認する必要があります。

 

施行まであと2週間ほどです。

フリーランスの外注さんを抱える会社やフリーランスの方は要注意です。

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