契約書を作るときの注意点① ー契約内容を明確に!ー
弁護士堀内のブログ2022.0115
仕事柄、中小企業のビジネスに関わることが多く、その際に、いろんな契約書に出会います。
どんなふうに作られているかを見るのは当然ですが、具体的な事情を想定して、「もしこんな事情が起こったとき、この契約書ならどのように処理されることになるのか?」ということを考えます。
こういう業務を「リーガルチェック」と言ったりしますが、弁護士によるリーガルチェックの技術って、結局は、「どれだけ具体的な事情を想定できるか」にかかっているんだろうなと思います。その点、「契約書ひな型」といった定型の書類がネットなどで出回っていたりしますが、その契約を結ぶバックボーンなど、具体的なビジネスシーンを想定せずに作られているので、使うのは危険だなと思っています。確かに、弁護士に契約書の作成を依頼するよりも安くで済むんですが、ひな型ではダメな場合もあるので、よくよく注意して頂きたいと思います。
それで、契約書を作るときの注意点ですが、1つ目は「必ず定めないといけない項目を漏らしてはいけない」ということです。
どんな契約書でもそうですが、契約書に必ず定める項目としては、次の6点があげられます。
①誰と誰の間の契約か
②いつの契約か
③誰が何をする契約か
④③がきちんとされなかったときに損害賠償請求できるか。できるとして請求できる額はどうやって計算するか
⑤解約できるか。できるとしてどういうときに解約できるか。
➅契約した人の誰のせいでもないけれども、契約どおりのことが実現しなかったときにどうするか。
この中で、どれが一番重要だと思いますか?
1つ挙げるとすれば、③です。③が不明確な契約書って、すごく多いんです。これが明確でないと、誰が何をするのかさっぱり分からないことになります。例えば、業者Aが業者Bに、Cという機械の修理を依頼したとします。このとき、契約書の表題には「BはAの保有するCという機械を修理する」と書いていますが、それ以外には何も書いていないとします。このときの問題点が何か分かりますか?
「修理」の意味がはっきりしない、という点が問題なんです。クリーニングしたらOK? 部品を交換して動けばOK? 違いますよね。動くだけではなく、もともとCという機械が持っている機能が復活してないとダメなんです。だから、契約書には「Cという機械が●●ということができるようにする」と定めないとダメなんです。
これが「契約内容を明確に」ということです。