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契約書を作るときの注意点⑤ ー損害賠償を請求できるのはどの範囲?ー

弁護士堀内のブログ2022.0126

契約どおりに進まなかったときに取りたい方法として、契約書を作るときの注意点④では解約について書きました。次は、お金を請求することについて書きたいと思います。

例えば、土地を買ったけれども買主が代金を支払ってくれない場合には、売買代金を請求するということになります。ですので契約書には、①売買代金がいくらか、②いつ売買代金を支払うか、については最低限度定めておく必要があります。売買代金を支払ってくれないなら、その定めに基づいて、「売買代金〇〇円を〇年〇月〇日までに支払ってください」と請求することになります。

これに対して、例えば、A社の保有するCという機械を修理することをBに委託したとします。また契約書には、「Bは〇年〇月〇日までに修理してAにCを納品する」という定めをしていたとします。ところが〇年〇月〇日になってもBの修理が終わらずにCがAに納品されない。そのためにAはCを使って得られたはずの100万円の売り上げを手にすることができなかったとします。この場合、AはBに100万円を請求できるのでしょうか。

契約書には通常、「当事者の一方が、契約上の義務の履行を怠ったときには、相手方は損害賠償を請求することができる」という定めをしています。よく出回っているテンプレートにも大抵はこういう定めが含まれていると思います。

ではここでいう「損害賠償を請求」には、どんな「損害」でも該当するのでしょうか。結論からいうと、Noです。ざっくりいえば、「こういう事態になれば通常発生するであろう損害」と「通常は発生しないけれど、契約時において普通に考えれば発生することが想定できる損害」しか、ここでいう「損害」には該当しません。上の例でも、Cを修理すればAがCを使って売り上げが得られることが通常だったかどうかははっきりとは言い切れないですし、また、Aにそのような売り上げが得られることがあり得ると普通に考えれば想定できたかどうかもはっきりしないので、「損害」に該当しない可能性があります。

なぜこのようなことが起きるかというと、「どのような損害について賠償する責任を負うのか」について、契約で定めておかなかったからです。例えば、Aからすれば、「当事者の一方が、契約上の義務の履行を怠ったときには、相手方は損害賠償を請求することができる。なお、Bの修理が納期までに行われていれば通常得られるはずであった利益については、損害賠償の範囲とする」などと定めておけばよかったということになります。逆にBからすれば、「当事者の一方が、契約上の義務の履行を怠ったときには、相手方は損害賠償を請求することができる。ただし、損害賠償の範囲については、通常生じる範囲に限定し、特別の事情により発生するものを含まないものとする」などとしておけば、Cを使って得られるはずの売上については、損害賠償しなくて済むということになります。

また、損害賠償の範囲を限定する方法として、「Bが契約上の義務の履行を怠ったときには、Aは損害賠償を請求することができる。ただし、損害賠償の額は、AがBに対して支払った委託料の金額を上限とする」というように、金額に上限を定めるという方法もあります。委託料のわりには損害額が巨額になりそうなときに使ったりする方法です。

このように、損害賠償についての定めをするときには、①どのような損害についての賠償を認めるのか、②金額に上限を決めるのか、といった点に注意していただくといいかと思います。

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